移動販売のノウハウ

1:話題の移動販売をチェック!

最近よく耳にする「移動販売」 ラーメン屋?焼き芋屋?それとも屋台のこと?

ここで言う移動販売とは、オリジナルでペイントやラッピングをして改造した販売車両(ケータリングカーまたはキッチンカー)で、食品から小物まで、様々な商品をイベント会場や遊休空地、オフィス街の施設駐車場などで販売する業種のことです。低予算で起業し、自由に出店場所や営業時間を自分自身で決められることから、自由に生きたい若者や女性に人気の職業となりつつあります。

移動販売ブーム

日本の終身雇用制は崩れ、就職すれば一生安泰というわけではないことはご存知の通りです。大企業による派遣切り、正社員に副業を認める企業も昨今の経済状況です。 そんな中、会社に頼らず自分なりの生き方、ライフスタイルの追及をする動きが、特に若い世代や女性に見られるようになってきています。自分が本当に好きなものを商売にし、個性を発揮したい。自由に移動し、営業時間も自分で決め、たくさんの人に自分の商品や味を届けたい。そんな人たちの起業手段として移動販売がブームになっています。固定店舗を持ちたくても家賃が高く、店舗の場所により売上は大きく左右されます。その点、移動販売なら、お客様のいる場所に自分から出掛けていくことができます。固定店舗に比べ開業資金が少なくて済むのもうれしいところ。自分の好きなように車両をデザインして、居心地のいい空間で好きな料理をし接客をし、お客様の声をダイレクトに聞き、「おいしかったよ」の一言は、それまでの苦労が吹き飛ぶほどの喜びを得られます。

移動販売のメリット

販売場所を固定せずにフレキシブルに動けるのが移動販売の最大のメリットです。固定店舗を開業するには初期費用が莫大にかかります。まず店舗を探し、毎月の家賃もかさみます。スタッフを確保して人件費も考慮しなければなりません。万全の態勢で臨んだとしても、お店のロケーションがよくないと売上は伸び悩むでしょう。しかし、移動販売なら、自らお客様を求めてアグレッシブに動き回り、売上を伸ばすことが可能です。また直接お客様と接することができるため、お客様の声をダイレクトにメニューに反映させたり、中にはお客様から出店場所のオファーをいただいたりすることもあります。移動販売の初期費用は、基本的には車両を購入し、移動販売用に改造するだけです。一から店舗を借り、自分の好みに改装する固定店舗こ比べると低予算で開業することができます。また、一人でも営業ができ、家族で営むことも可能です。時間も自分の好きに管理でき、ランチから夜まで営業するもよし、逆にランチのみでもOK。また週末のみの営業で副業とするのもいいでしょう。自分の生活ペースに合う営業形態を選ぶことができ楽しく心豊かに働けることでしょう。

移動販売に向いている人

移動販売に向いている人は、「とにかくこれが好き!」「この料理にかけては誰にも負けない!」といった熱い気持ちを持ち、より多くの人に食べてもらいたいと願っている人です。その上でその気持ちをポジティブに表現でき、お客様とも上手にコミュニケートできる人なら、いうことありません。固定店舗とは違い、移動販売はその名の通り、多くの場所に移動し販売します。毎日新しいお客様との出会いがあります。臆することなくお喋りを楽しめ、明るい雰囲気でお客様をひきつけられる方なら、固定客がついたり、もしかすると新たな販売場所を紹介してもらえるかもしれません。移動販売は毎日が勉強です。お客様との距離が近く、直接お話しすることが多いため、商品の感想やリクエストを耳にする機会が多くなります。お客様の声を味やメニューに活かして更なる売上アップを目指したり、新たな商品開発に結びつける絶好のチャンスです。その意味では、研究熱心で向上心のある人向けの職業だと言えるかもしれません。苦労点は、販売場所を見つけることや、見つかっても諸般の事情から撤退を余儀なくされたり、天候に左右されることなどが挙げられます。そういった苦労の中で、自分を信じて工夫しつつ、忍耐強く努力を続けられるかも、ポイントのひとつです。

副業としての移動販売

フレキシブルな移動販売は、会社勤めをしつつ週末のみ副業として開業するといったことも可能です。週末起業を続け、いずれは本業とすることを目標に取り組むのも良いでしょう。週末起業のみならば、ある程度の売上で自分の楽しみとして続けることができますが、本業とすることを目指すのであれば、売上を安定させる為の運営計画を立てることが必要です。移動販売としてのプロを目指すワケですから、飲食店の経験のない人はアルバイトをしてみるとか、専門学校やフード系のセミナーで学ぶなどして専門知識を身につける努力をしましょう。それらの経験は、移動販売をするためのノウハウとして役立ちます。また、固定店舗を開業するまでのステップとして移動販売をする方も多いことでしょう。その場合も目標値や期間を決めて取り組むことが効率的です。

2:車両と商品について

あなたの夢を叶える車を選びましょう!

調理営業などのケータリングカーは、保健所の許可がないと営業ができません。車両を購入する前に、販売する商材のイメージをハッキリさせ、まず保健所に相談に行きましょう。その後、許可基準に添った設備の車両を購入し、あなたのイメージに合うように内外装を改造するのがベスト。取扱商品によっては営業許可が出ないこともありますので、じっくり考えてから購入を決断しましょう。

車両選びと手配

移動販売を行うには、何をおいても保健所の許可が必要です。許可がでる車両に改造するため、まずは保健所に相談に行きましょう。都道府県により許可基準が異なるため、営業するエリア所管の保健所に行きましょう。許可基準がわかったら、車両を探しましょう。初期費用を抑えるため、中古車を購入する方が多いようです。フォルクスワーゲンやシトロエンなど、外国製の可愛い外見のものを好む方もいらっしゃいますが、年式によっては故障した時のパーツがないなどの不便があるため要注意です。走行距離や修復歴にも気を付けましょう。納得する中古車が見付かったら、内外装を改造します。車両の改造から販売まで請け負う移動販売車両専門の業者さんもあり、豊富な車種やデザインから選ぶことができて非常に便利です。予算の相談にも応じてくれ、保健所の基準にも詳しい経験豊富な業者さんもいます。その分、費用は高めですが、余裕があれば利用してみると良いでしょう。経費をできるだけおさえたいなら、自分でできるところは自分でやりたいところ。ベテランオーナーの中には、ほとんど自分でやってしまったという方もいらっしゃいます。フード系移動販売の場合、ホームセンターなどで手に入らない設備などもあり、DIYが得意だとしても簡単には作れないのが実情です。不器用な人がムリをすると見栄えの悪いものが仕上がりますので、ムリをせず、安くお願いできる業者さんを探しましょう。

仕入れと仕込み

無駄ができないように適切な量を安定して仕入れることがコツです。事前の原価計算は当然ですが、営業しながらも常に見直す目を持っていたいものです。信頼できる個人商店さんと付き合いができれば何かと融通をきかせてもらえるでしょうし、インターネットを通じて安価で良質のものを探すのもよいでしょう。移動販売では、下ごしらえ済みの食品を、車内で加熱や盛り付けする程度の調理に限られます。そのため、別途仕込み場所が必要となります。仕込み場所は車両以外の場所なら、どこでもいいというワケではありません(自宅の台所はNG)適切な仕込み場所は、通常使用する台所ではなく、完全に仕込み専用として区切られ、かつ飲食店と同じ基準の営業許可が適用される場所のみです。やはり衛生管理の面がありますので、基準は厳しいです。そのようなことから、自宅で仕込みをする方は少なく、知り合いの飲食店などと契約し、厨房を仕込み場所として使わせてもらっているオーナーさんもいらっしゃいます。もし食中毒などが発生すれば、仕込み場所を使わせてもらっている店舗にも迷惑を掛けることになってしまうため。傷みやすい食材を避けるようにしたり、車内での調理はもちろん、仕込み段階でも衛生面には充分な注意が必要です。

看板商品

一般的に、ケータリングカーでの販売に向いているのは、定番ながらオリジナリティがあり、競合が少ないメニューです。片手で食ることができるなど、お手軽かつ非日常性がある商品なら、なお良いでしょう。 フード系の移動販売で効果的なのは、貪欲な女性の支持を得ることです。口コミでお客様を呼び、人気を集める可能性が高まります。女性は見た目がきれいなものを好みます。おいしさが第一なのは言うまでもありませんが、センスが感じられない外見、盛り付けやパッケージの店には足が向かないものです。なるべく女性の意見を取り入れ、可愛い感じの外観・料理になるよう、工夫が必要です。また、食べ物の安全性にとても敏感です。食材の産地や安全性をアピールすることで、安心して食べることができるという安心感が生まれます。

価格設定

適正な価格を設定するには、出店を考えている場所に足を運び、周囲の店舗やケータリングカーの販売価格を前もってリサーチしてみることです。原価から適正価格を設定することはもちろん必要ですが、出店場所にそぐわない高価格をつけたりすると、せっかくの商品の売れ行きに響いてしまうおそれがあります。また、どこでも一律に価格を固定するのではなく、販売場所やイベントによって値段を変えることも念頭に置くと良いでしょう。特別な商品として限定数での販売も面白いかもしれません。

3:開業に必要な手続きと資金

開業資金てどれくらい掛かるんだろう?必要な手続きっているのかなぁ?

資金も心配だし、手続きだってどこに行けばいいの?移動販売の開業を夢みるものの、実際はどうしたらいいのかわからない…。一見難しく見えますが、よく読んでひとつずつ実行に移していきましょう。 いつの間にか、あなたの夢が現実のものとなっていることに気付くはずです。

専門知識(調理技術と衛生管理)

一からフード系移動販売を始めるなら、調理技術を学ぶ必要があります。時間に余裕がある方は、一度希望する料理を扱う飲食店でアルバイトをしてみるのもいいかもしれません。調理や盛付け、接客など、きっと移動販売でも活かせるノウハウが身に付くでしょう。より本格的に知識や栄養バランスについて学びたい方は、調理師専門学校やセミナーに通うのも良いでしょう。調理師などの資格を取れば「食品衛生責任者」の受講が免除されます。「料理の腕には自信がある!」「だからそんなこと必要ない!」という方も、衛生管理についてはしっかり学ぶ必要があります。移動販売を開業するためには「食品衛生責任者」の資格取得が必須となっています。資格取得者がケータリングカーにつき1名はいないと開業することができません。「食品衛生責任者」は 17歳以上の方であれば、各都道府県で開催されている一日講習会に参加すれば取得できます。講習を受けるだけで全員が取得でき、受講料はおおよそ1万円ほどです(都道府県により異なります)。 調理師、製菓衛生師、食品衛生管理者、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士等の有資格者、または大学で栄養学など食品衛生に関係する学科を修了した方は、取得を免除されます。

必要経費と営業許可申請

固定店舗のように家賃は必要ないとは言え、移動販売もそれなりに維持費は掛かります。まずは毎月の必要経費にどれくらい掛かるのか、しっかりとシミュレートすることが大切です。初期費用としては、まず車の購入や改造費、調理器具やガスコンロ、冷蔵庫などの備品、毎月の仕入れ費、光熱費、通信費など、通常のお店と同じ費用が必要です。その上で駐車料金、ガソリン代、自動車税、車両保険などの車両の維持費、場合によっては人件費も掛かるでしょう。細かい経費としては、看板やのぼり、チラシなどの広告費、使い捨て容器や紙コップ、包装紙などの消耗品なども毎月必ず必要です。それらを考えつつ、開業に向けて営業許可の申請をしましょう。保健所に行き、移動販売車両の相談をします。その時必要な書類の一覧表などももらっておくと良いでしょう。なお都道府県により、許可基準は異なります。車の図面ができあがったら、申請書類と共に提出します。手数料は15,000円から20,000円程度。この時、移動販売車両の改造完成後の検査日を決めます。検査日に、指定された場所に車を運び、検査を受けます。合格すれば、一週間ほどで許可証が交付されます。通知が到着したら印鑑を持参し、保健所へ許可証を取りに行きましょう。

資金の調達

固定店舗を始めるほど費用は掛からないとは言え、やはり開業にはある程度の資金が必要です。中古車、中古品を活用し、手作業で改造をするなどしてなるべく資金を抑えたいもの。それでも数十万から数百万円の初期費用は覚悟しなければならないでしょう。一番良いのは、自己資金のみで開業することです。しかし、若い方だと、それは難しいでしょう。家族や親戚からお金が借りられるならば、利息や返済面で融通がきき、精神的に楽です。しかし、それもあまり当てにできない場合はどうするか…。すぐに思いつくのは、銀行からの借り入れです。しかし、これまで事業面での実績が全くない場合、それは難しいでしょう。 その際は政府系の融資制度を利用してみましょう。金融公庫をご存知でしょうか?新規に開業する人や、女性や若者、シニア向けに低金利で融資する制度です。その他、国や地方公共団体などが企業向けに事業推進のために資金援助をしています。補助金や助成金と呼ばれるもので、様々な種類があります。お住まいの役所で問い合わせてみましょう。

開業手続き

税務署の開業届出や青色申告承認申請、フード系の場合は保健所の営業許可申請の手続きと、都道府県の食品衛生責任者の資格が必要です。

【開業届出/青色申告】

業種を問わず、開業から1ヶ月以内に「開業届出書」を提出します。
青色申告を希望する方は、「青色申告承認申請書」を2ヶ月以内に提出します。
物販系の移動販売の場合は、これらの申請だけで開業できます。

【営業許可】

まず、保健所にやりたいお店の内容を伝えてアドバイスをもらいましょう。その時、必要な書類の一覧表などももらっておくとベターです。許可基準がわかったら、基準に沿った図面を作成し、もう一度チェックをお願いしましょう。それに沿って車を購入し、内外装を改造します。内外装完成後、ケータリングカーの検査を受けます。いつ頃検査を受けたいか考え、余裕を持って10日以上前に申請書類を保健所に提出しましょう。申請手数料は15,000円から20,000円くらいです。指定された場所に車を持って行き、検査を受けます。かならず本人は立ち会って下さい。不適合があれば再改造し、再検査を受けなくてはなりません。検査日から約1週間後、通知が来ます。印鑑を用意し、保健所に許可書を受け取りに行きましょう。営業許可証は、営業時必ず携帯しないといけません。営業許可済み標識は、車の見やすい場所に貼っておきましょう。

【食品衛生責任者】

各都道府県の食品衛生協会に連絡し、参加日を確認します。事前に申し込み、講習会に参加しましょう。1日6時間程度で、食品衛生法、食中毒や消毒、滅菌、添加物などの基礎知識について講習を受けます。受講者全員が資格を取得でき、修了後に資格認定証が交付されます。なお、この認定証は取得した都道府県下でのみ有効です。都道府県をまたがって営業する場合は、各地域ごとに取得せねばなりません。

4:販売場所を探そう!

車もできたし、やっとオープン!でもどこで営業したらいいのだろう・・・。

最近よく見掛けるケータリングカー。しかしどこででも営業していいわけではありません。例えば路上…、実は販売禁止です。じゃあ、どこでなら?基本は私有地を借りることです。イベント、大きな店舗の駐車場、空き地など…。そんなのどうやって?誰に頼むの?販売場所の確保は頭を悩ませる問題です。

道路では営業禁止

道路上で販売することは、法により厳しく規制されています。無視して営業すれば行政処分や刑事罰の対象になり、懲役や罰金が課せられることもあります。規制をかいくぐってのゲリラ的に営業は、固定客などつくはずもなく、反社会的勢力からの不当な要求などのトラブルのもとになりかねません。では、公園ならどうでしょう。確かに道ではないので道路交通法の取り締まりからは外れますが、今度は都市公園法の規制を受けることになり、出店には自治体の許可が必要となります。但し、営利目的の使用は認められません。駐車場やショッピングモール、空き地などの私有地には規制する法律はありませんが、当然土地のオーナーや管理者の許可を得なくてはなりません。移動販売が社会的に認知され信頼を得るには、私有地内での合法的な販売に限るというルールの遵守が必要不可欠です。

どんな場所に出店するか?

当然ながら、人通りの多い場所や人目につきやすい場所が基本です。例えば、ショッピングセンター、ホームセンター、パチンコ店、住宅展示場、携帯ショップなどの店舗から、街中の駐車場、空スペース、各種イベント会場などです。店舗スペースや駐車場などは、決まった曜日に定期的に出店することで固定客を掴むことができます。「必ずこの曜日にはあの場所で○○を販売している!」とお客様に認知されることで安心感を与え、足を運んでいただけるお店になれます。チラシやブログで事前にスケジュールを告知し、万一出店できない場合も必ずフォローをすることが信頼につながります。また、イベントに出店することで飛躍的に知名度や売上をアップすることができます。イベントの来客は、非日常感を楽しむために来ていますので、もの珍しさから購買意欲をそそられることが大いにあります。メニュー構成を変えてみたり、スペシャルメニューを投入するなど、うまくニーズに応えるようにしましょう。また平日も営業していることを伝え、スケジュールを書いたチラシや名刺を渡すこともよいでしょう。気に入っていただければ固定客として定着することも考えられます。

場所選びのコツ

開業当初は土地勘のある場所に出店することから始めましょう。自分がよく知っている土地なら、客層や時間帯による人通りの変化も容易に予想でき、価格設定やメニュー構成もうまくできるでしょう。目立つ場所にあることは大前提ですが、できることなら屋根があり、雨が降っても影響を受けにくい場所がベストです。移動販売は天候の影響を受けやすい商売なのでショッピングセンターの一角など屋根のある場所をおさえましょう。お客様が買った商品を食べることができるような車両の周りのスペースも要チェックです。商品だけではなく「ホッとくつろげるスペースを一緒に売る」気持ちが大切です。簡易ベンチや椅子を配置し、ゆっくり座って味わえるスペースを作れば、お客様がお客様を呼び、集客率もアップします。車から見渡せる約10メートル以内の距離なら、移動が苦にならないというお客様の心理があります。その範囲内にベンチや腰を下ろせそうな場所があれば有望な出店場所ということになります。また、お客様が列を作っても通行人や通行車両のジャマにならないか、急に車を移動させることになっても困らないかなども考慮に入れましょう。

立地開発(交渉)

いい出店可能な場所を見つけたら、オーナーまたは管理者の方と交渉しましょう。移動販売の社会的認知はまだまだ遅れており、ケータリングカーといっても何のことか理解できない方もおられます。そのためにもわかりやすいプレゼンテーション資料を作成し、丁寧な説明を心掛けましょう。実際に車両や販売商品を見ていただくのも一つの手です。大きなショッピングセンターや住宅展示場なども有望な出店場所ですが、営業許可を得るにはなかなか基準が厳しいようです。当然ながら衛生管理の面は厳格で、様々な書類の提出を求められることが多いようです。月極駐車場、不動産屋、イベント会場など、見込みがありそうな営業先は多いのですが、経験のない素人では門前払いされるなど、個人レベルでは難しいこともあります。そのような場合は、当協会のような団体の会員になったり、営業場所の情報を提供する仲介業者や広告代理店などに依頼するというのも一つの方法です。人を介するとどうしても手数料が発生しますが、その分良い場所の確保や本来の販売に専念できるといった利点もあります。移動販売業界は口コミが有力です。日頃から「どこかいい販売場所ない?」「イベントの情報知らない?」などと挨拶代わりに口にしておくと良いでしょう。「お客様から出店場所の情報をいただいて営業できた」といったことも耳にします。

5:効果的な集客術

大人気!大繁盛!一歩上を行くケータリングカー

自慢の料理を、たくさんの人に食べてもらいたい!もっともっとお客様に来てもらうには?いくらおいしい料理でも、人目に付かなければ意味がありません。また、興味を惹かなければ誰も買いません。味だけで勝負するのではなく、あなたの料理を魅力的にアピールし、もっとたくさんのお客様に来てもらいましょう!

販売車両と販促ツール

車両自体がお店の宣伝になります。きれいで個性的な外観は人目をひき付け、お店への興味を掻き立てます。外装に費用を掛けられなくても、のぼりを立てる、黒板の手書きのメニューを配置する、写真を多用した看板を配置するなど、売っている商品のイメージを掴みやすくします。可愛いイラストを使ったり、黒板にちょっとしたメッセージを入れるなどして親しみやすい雰囲気を作りましょう。おいしそう、食べてみたいなと思ったら、次にお客様は商品の価格が気になります。小さい字で価格が分かりづらいと、興味はあっても敬遠されてしまいます。中高年のお客様にもはっきり見えるよう、大きくわかりやすく表示すいることもポイント。マスコミの取材を受けるようなことがあれば、画像や掲載ページを大きく印刷し、「マスコミに取り上げられる人気の店だ」ということを大きくアピールすると効果的です。第三者に評価される店だという信頼感により、お客様の背中を押し、話題の店だと口コミで広がっていくかもしれません。

行列

道を歩いていると、目の前に行列が…。理由も分からないまま、思わず並んでしまう人も多いと思います。行列ができていると、きっと何か素晴らしいものがあるから並んでいるのだろうという期待感を抱かせ、多くの人が並んでいることからさらに多くの人を呼び寄せます。行列ができたら、最初に気を付ける注意点は他の通行人の邪魔にならないよう、誘導することです。二人以上で販売している場合は、一人が車内で調理し、もう一人が車外でお客様を誘導し、あらかじめメニューを渡すようにすればスムーズです。でき得る限りお客様を飽きさせないよう気を配りし回転を早め他に流れないよう、楽しい雰囲気作りを心掛けましょう。お客様が少ない時は、逆に行列ができるようゆっくりめに接客し、二、三人並ぶようにしてみましょう。誰も並んでいないケータリングカーは、ちょっと近づきがたいものですが、少人数でも並んでいれば、その間、商品POPなどを見たりして吟味することができます。そこには「安心して列に並べる」というお客様心理があります。また、目の前のお客様と楽しくコミュニケートしながら、後ろのお客様をも飽きさせないよう、見ていて楽しいパフォーマンス的調理などを行うといいでしょう。

はじめての出店とリピーター作り

初めて出店する場所では、近隣に挨拶まわりに行く際にチラシや広告カードを持参し、置いてもらえるかどうか頼んでみましょう。 またお客様にチラシを配り、これからこの場所で出店するということを告知すると良いでしょう。車を止め、販売する服装(ユニフォームなど特徴のあるものの方がベター)でチラシを手渡すと効果的です。メニューだけではなく割引券を付けるなど、お得感を盛り込むとベストです。一度来ていただいたお客様をリピーターにするには、さらなる工夫が必要です。例えば、スタンプカードを発行しスタンプがたまれば一食分無料にするなど、何回も足を運んでいただくための仕掛けが必要です。但し、あまり現実味のない内容にしないことが肝心です(有効期限が短すぎる、スタンプノルマが多きすぎるなど)移動販売のお客様にとって、一番気になるのは、いつ、どこで販売しているかです。ホームページやブログを開設し、スケジュールを公開しましょう。携帯メールでメールマガジンを配信するなどすればより効果的です。またホームページがあれば、より多くの人にお店のことを詳しく知らせることができ、一般のお客様だけでなく、イベント出店依頼やマスコミからの取材依頼のオファーも来やすくなります。

笑顔で接客

ケータリングカーは、非日常感、ワクワクした感じが大切です。また、お店のスペースが狭く、お客様と直に触れ合えることも特徴です。これらをうまく活用し、お客様に親しまれるお店にしていきましょう。お客様の目を見て話し、一人一人の顔を憶えるようにする。二度目以降の来客には「いつもありがとうございます」と挨拶する。常連さんや子連れの方にはちょっとしたオマケを付けてみる。並んで待っているお客様には、あと出来上がり時間を伝えるなど、きめの細かいコミュニケーションを心掛けるということが大切です。空腹を満たすだけの食事ではなく、楽しさや温かさを提供することで、お客様に心待ちにされるケータリングカーになりましょう。時にはクレームが入るかもしれません。その時はきちんと耳を傾け、自分を省みましょう。クレームはビジネスチャンスです。より良い移動販売ができるチャンスをもらっていると考え、誠実に対応しましょう。おいしい料理を作り、楽しい雰囲気作りを心掛け、積極的に会話する。いずれにも笑顔は欠かせません。笑顔がないところには、誰も近づきません。常に笑顔を心掛け、誠心誠意頑張っていれば、いつの間にか多くの人に愛されるケータリングカーになっているはずです。